賢治は猫が嫌い?

宮沢賢治の作中には沢山猫が登場します。どんぐりと山猫、猫の事務所、セロ弾きのゴーシュ、注文の多い料理店…しかし賢治は猫嫌い。そんな説が世に出回っておりました。なぜでしょうか。
描を擬人化した『銀河鉄道の夜』の作家、ますむら・ひろし氏著の『イーハトーブ乱入記 僕の宮沢賢治体験』では、宮沢賢治の『猫』に「わたしはねこが大嫌いです」というフレーズがあったため研究者は「賢治は猫が嫌い」と位置付け、擬人化した猫での制作を反対したそうです。それに疑問を感じたますむら氏は、当時賢治が友人にあてた手紙などから、その頃ノイローゼ状態であったことをつきとめました。東京で人造宝石商をやりたいという夢を父に拒否され、家業の質屋の店番を不服ながら勤めていた頃に『猫』は書かれていたのです。
賢治はやりきれない思いを『猫』で表したのではないかと。
また、賢治のノートにこんな落書きがあります。同じ頁に数点猫の落書きが載っていました。
こんな愛くるしい猫を書く人が『猫嫌い』
だと私には到底思えないのです。

実になめらかによるの気圏の底を
         猫が滑ってやって来る。
(私は猫は大嫌ひです。猫のからだの中を考へると吐き出しさうになります。)              宮沢賢治『猫』より抜粋

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