星座の始まり

夜空を見上げると、星が輝いています。最近は、街の明かりがどんどん明るくなってしまって、たくさんの星々、満天の星空を見ることが難しくなってきました。でも、車で高い山などに登ると、(大崎地方ではちょっとたんぼ道を歩くと?)昔の人たちがみたような満天の星空を楽しむことができます。
 昨年パレットおおさきに「一番、最初に星をみていたのは誰?」という質問が届きました。誰という質問には答えられなかったのですが、いろいろ調べていくうちにフランスのラスコー壁画(1万5千~1万年前)に描かれたいくつかの黒い点々が、おうし座のすばるを、また夏の大三角と模写したと思われる、というのです。この研究が正しければ、「星をみてそれを記録した最古の人々は」1万5千~1万年前のフランスに住む旧石器時代の芸術家たち、ということになるでしょうか。


それから時代が進み、昔の人々は、明るい星をむすんで「星座」を想い描きました。星座とは、星と星を結び,動物や人物、道具などに見立てて,天球上の区分としたものです。
星座は、英語で、コンステレーションconstellationです。conは「共に」という意味があり、stellaは「星」、tionは名詞につく語尾の言葉ですので、直訳すれば「星の集まり」「星の散らばり」となるでしょう。
 現在普通に使われている星座は、西洋から伝えられた星座です。しかし、日本で星座といえば、明治初期までは、中国の星座「星宿」でした。西洋の星座が日本に入ってきた明治期以降も、しばらくの間、constellationは「星宿」と訳され、大正期ごろよりやっと「星座」と呼ばれることになったようです。


さて、星座は、いつ、どこでだれがつくったのでしょうか。

かつて、星座は「ギリシア星座」と呼ばれていた時代がありました。ご存じのように、星座には、豪華絢爛、ドラマチック、ロマンティックなギリシア神話が描かれていたからで、星座の歴史も、今から3000年ほど前のギリシアで始まったものと考えられていたのです。しかし、今から100年と少し前になって、だいぶ話は違ってきました。

今のイラクのあたりに、チグリス川・ユーフラティス川という二つの大きな川があって、そこにかなり古くから文明が栄えていたのはご存じかと思います。歴史の教科書でもおなじみの「メソポタミア文明」です。メソポタミア文明といえば、粘土などに尖ったヘラのようなもので刻んだ「くさび形文字」が有名ですが、そのくさび形文字が彫り込まれた粘土板などから、文明の詳しい様子、そしてギリシア以前の星座の古い歴史が明らかになってきたのです。今では、星座は、ギリシアより現在はもっともっと古い約5000年あるいはそれ以上も前に、今のイラクを中心としたメソポタミア地方で起こったものとされています。

星のガイドブックや星占いの本には、よく「約5000年前、カルディア人(新バビロニア人)という羊飼いが、夜羊の番をしながら、空に星座をつくっていった」とあります。多くの人がこのような文章を目にし、これが常識だとお思いではないかと思います。しかし、これもあやまりです。星座の起こりについては、実は、まだまだはっきりしないことが多くありますが、カルディア人が活躍したのは約3000年前のことですし、カルディア人よりもっと古い今から約5000年も前にシュメール人やアッカド人といった人たちがつくり始めたのが星座の始まりの始まりではないか、というのが定説となっています。
 

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